ウズベキスタンの基礎情報
概要
国土は日本の1.2倍にあたる44.72万平方キロ、人口2780万人(2010年)、首都はタシケント。中央アジアの要衝に位置する旧ソ連邦構成国家である。
略史
紀元前4世紀 アレクサンドロス大王により制圧
紀元前250年頃 グレコ・バクトリア王国成立
1~3世紀 クシャーン朝による支配
6世紀中頃~ テュルク系遊牧民(突厥)の侵入、次第に住民のテュルク化が始まる
7世紀 ソグド人の活動が最盛期に
8世紀以降 アラブ勢力の侵入、イスラーム教の受容
9世紀後半~10世紀 サーマーン朝成立(文芸・学問の発展)
13世紀 モンゴル帝国の支配
14世紀後半~15世紀 ティムール帝国(首都サマルカンド)成立
15世紀末~16世紀 遊牧ウズベク集団の侵入、シャイバーン朝の成立
18~19世紀 ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国、コーカンド・ハン国の支配
1860年~1970年代 ロシア帝国による中央アジア征服
1867年 ロシア帝国、タシケントにトルキスタン総督府を設置し、植民地統治を開始
1918年 ロシア連邦共和国の一部としてトルキスタン自治ソヴィエト社会主義共和国成立
1920年 ブハラ人民ソヴィエト共和国、ホラズム人民ソヴィエト共和国成立
1924年 中央アジアの民族・共和国境界画定によりウズベク・ソヴィエト社会主義共和国成立
1989年6月 フェルガナ事件(ウズベク人とメスフ人の民族間衝突)
1990年3月 カリモフ大統領就任
1990年6月20日 共和国主権宣言
1991年8月31日 共和国独立宣言、「ウズベキスタン共和国」に国名変更
1992年12月 カリモフ大統領再選
1995年3月 国民投票によってカリモフ大統領の任期延長
2000年1月 カリモフ大統領再選
2005年5月 アンディジャン事件
2007年12月 カリモフ大統領再選
政治
共和制の政体で、国家元首は独立以来のイスラム・カリモフ大統領(2007年12月再選、任期7年)が務めている。
議会は二院制(任期5年、上院:「セナート」(定数100)、下院:「立法院」(定数150)、前回選挙は2009年12月)
内政
(1)1991年12月、ソ連の解体とともに独立。初代大統領に選出されたカリモフ大統領は、1995年12月の国民投票により任期(5年、1人2期)を2000年までに延期。2000年1月に再選を果たし、その後、2002年1月の国民投票による憲法改正で任期を7年間に延長(任期は2007年1月まで)。2007年12月大統領選挙で、カリモフ大統領は再選された。
議会では「人民民主党」と改称した旧共産党が大勢を占め、大統領を支持していたが、2004年12月に実施された二院制に移行しての議会選挙を後は、新大統領の新党「自由民主党」が第一党となった。イスラム急進派の活動を禁止しており、キルギス、タジキスタンとの国境付近におけるイスラム武装勢力の動きを警戒している。
(2)1989年のフェルガナ事件(ウズベク人とトルコ系メフス人との衝突)、1990年のオシュ事件(ウズベク人とキルギス人との衝突)等の民族間対立の他、1999年2月、2004年4月、7月にはタシケント市等で爆発事件が発生。
(3)2005年5月、フェルガナ盆地アンディジャン市にて武装勢力による刑務所等の襲撃や住民による反政府デモが起き、治安部隊が鎮圧の際に一般市民に発砲、数百名の死者が生じたとされる。
外交
独立後はロシア依存を脱却する全方位的外交を展開し、2001年9月の米国における同時多発テロ事件後は、国内空軍基地に米軍駐留を認めるなど米国との関係を強めてきた。しかし2005年5月のアンディジャン騒擾事件を受け、事件への対応に批判的な欧米各国との関係は大きく悪化し、カリモフ政権の立場を支持する露・中との関係強化が進んだ。2005年11月には、米軍の撤退が完了する一方でロシアと同盟関係条約を締結。2006年1月にはユーラシア経済共同体(EAEC)に加盟、6月にはCIS集団安全保障条約機構(CSTO)への復帰を決定。2006年9月には、ロシアと反テロ共同軍事演習を行った。但し最近では、EUや米から政府高官のウズベキスタン訪問が行われるなど欧米との関係改善の兆しが見られており、2008年10月にはユーラシア経済共同体(EAEC)に対する自国の加盟資格を停止している。
経済
経済概況
(1)独立当初より市場経済化については漸進的なアプローチを採用した結果、CIS諸国の中では独立後の経済の落ち込みは比較的緩やかであった。2008年のリーマンショックについてもほとんど影響がなかった。GDP成長率は2004年から7~9%の高水準を維持した。
(2)主要産業は綿花栽培。また、天然資源にも恵まれ、天然ガス、ウラン、金などが豊富。一次産業が主体の経済であり、産業の高度化が課題。
経済指標
主要産業:綿繊維産業、食品加工、機械製作、金、石油、天然ガス
GDP:390億ドル(2010年:IMF推定値)、 一人当たりGDP:1380.2ドル(2010年:IMF推定値)
経済(実質GDP)成長率:8.5%(2010年:IMF推定値)
物価上昇率:9.4%(2010年:IMF推定値)
失業率:1.0%(2009年:CIA)
総貿易額(2009年:WTO)
(1)輸出 117億7,100万ドル
(2)輸入 94億3,800万ドル
主要貿易品目(国家統計委員会)
(1)輸出 石油・ガス・石油製品、サービス、綿繊維、食料品、鉄・非鉄金属
(2)輸入 機械・設備、化学製品、食料品、鉄・非鉄金属、石油製品
主要貿易相手国(国家統計委員会)
(1)輸出 ロシア、中国、カザフスタン、トルコ、アフガニスタン
(2)輸入 ロシア、韓国、中国、カザフスタン、ドイツ
通貨:スム(Sum:1994年6月27日導入)
為替レート:1ドル=1,731.63スム(2011年10月現在:ウズベキスタン国立銀行)
我が国との関係
日本の援助実績
(1)有償資金協力 975.52億円(2009年度までの累計)
(2)無償資金協力 206.79億円(2009年度までの累計)
(3)技術協力実績 121.11億円(2009年度までの累計)
政治関係
両国関係は良好に進展。双方が大使館を開設済み。人的交流も活発。
(1)国家承認日 1991年12月28日
(2)外交関係開設日 1992年1月26日
(3)日本大使館開館 1993年1月
(在日ウズベキスタン大使館は1996年2月に開館)
経済関係
(1)日本の対ウズベキスタン貿易(2010年:財務省貿易統計)
輸出 68億円(自動車、ゴム製品)
輸入 151億円(金、綿織物等)
(2)日本からの直接投資 - 14億円(2008年フローベース:日本銀行統計)
在留邦人数
134人(2011年2月現在)
在日当該国人数
832人(2011年8月現在:法務省)
二国間条約・取極
1994年5月 日ソ間で結んだ条約の承継を確認。
2003年12月 日・ウズベキスタン航空協定署名
2006年6月 日・ウズベキスタン技術協力協定署名
2008年8月 日・ウズベキスタン投資協定署名
ウズベキスタン関連の情報源
外務省の概要がわかりやい。ソースは下記のWorld Fact BookやEBRDのTransition Reportが多い。
その他、米国CIAのWorld Factbookのサイトが概要を把握する上では参考になる。
CIA The World Factbook- Uzbekistan
ローカルベースでは国家統計委員会の英語サイトに社会経済統計が掲載されている。精度は不明。
ニュースソース
国内メディアは国内情勢の報道に慎重で海外メディアが流す海外での出来事やウズベキスタン関連を流している傾向があるので、ニュースソースといってもあまり心当たりがないが、ビジネスやファイナンスなどはUzReport(有料だがヘッドライン程度は読める。)やUzDaily News
経済情報
マクロ経済は、IMFですね。それとADBのEconomic Outlook, EBRDのTransition Reportも参考になります。EBRD and Uzbekistan
World BankのUZサイトも情報があります。
Source:EBRD and Uzbekistan
政治情報
UZ政府のポータルサイトが概要としては適当だろう。本音はかなり文書を読み込み関係者と話さないとわからない。そのためにロシア語は必須です。CA-Booksを参照下さい。
社会
UNDPのHuman Development Reportが参考になる。
民族
ウズベキスタンの人口別民族構成は以下の通り。独立後、この構成はロシア人をはじめとする少数民族の出国と旧ソヴィエト連邦地域からのウズベク人の帰国でウズベク人比率が徐々に高くなっている。
タジク人が5%と非常に少ないが、多くはウズベクとカウントしていると思われる。その他の中に、朝鮮系、ユダヤ人、ギリシャ人、アルメニア人、ウクライナ人等が含まれる。なぜ、ギリシャ人がこの地に居るのか、独立前までは35000人程度住んでいたが現在は5000人程度である。
ウズベク71%
ロシア8%
タジク5%
カザフ4%
タタール2.5%
カラカルパク2%
その他7.5%
主要開発指標(2007年9月)
Key Development Indicators | Uzbekistan |
Population, mid-year (millions) | 26.5 |
Surface area (thousand sq. km) | 447 |
Population growth (%) | 1.4 |
Urban population (% of total population) | 37 |
GNI (Atlas method, US$ billions) | 16.1 |
GNI per capita (Atlas method, US$) | 610 |
GNI per capita (PPP, international $) | 2,250 |
GDP growth (%) | 7.3 |
GDP per capita growth (%) | 5.8 |
(most recent estimate, 2000–2006) | |
Poverty headcount ratio at $1 a day (PPP, %) | … |
Poverty headcount ratio at $2 a day (PPP, %) | 26 |
Life expectancy at birth (years) | 67 |
Infant mortality (per 1,000 live births) | 57 |
Child malnutrition (% of children under 5) | 8 |
Adult literacy, male (% of ages 15 and older) | 99 |
Adult literacy, female (% of ages 15 and older) | 99 |
Gross primary enrollment, male (% of age group) | 100 |
Gross primary enrollment, female (% of age group) | 99 |
Access to an improved water source (% of population) | 82 |
Access to improved sanitation facilities (% of population) | 67 |
Source: World Bank at a glance
地方行政
ウズベキスタンの地方行政は、12の県(viloyati)と1自治共和国、1独立都市からから構成されている。県知事は大統領の任命で決められている。 以下に各県別の人口を示す。都市名はウズベク語、県はviloyati、市は市shahriである。
Toshkent Viloyati(タシケント県)のデータはToshkent Shahri(タシケント市)を含む統計である。県の下位にはディストリクトがある。
Division | Capital City | Population (2008) |
Buxoro Viloyati | Buxoro(Bukhara) | 1,576,800 |
Jizzax Viloyati | Jizzax | 1,090,900 |
Navoiy Viloyati | Navoiy | 834,100 |
Qashqadaryo Viloyati | Qarshi | 2,537,600 |
Samarqand Viloyati | Samarqand | 3,032,000 |
Sirdaryo Viloyati | Guliston | 698,100 |
Surxondaryo Viloyati | Termez | 2,012,600 |
Toshkent Viloyati | Toshkent | 2,537,500 |
Toshkent Shahri | Toshkent | 2,192,700 |
Fergana Valley Region | ||
Farg'ona Viloyati | Fergana | 2,997,400 |
Andijon Viloyati | Andijon | 2,477,900 |
Namangan Viloyati | Namangan | 2,196,200 |
Karakalpakstan Region | ||
Xorazm Viloyati | Urganch | 1,517,600 |
Qaraqalpaqstan Respublikasi | Nukus | 1,612,300 |
ソースはwikiだけど統計委員会のデータもある。時間が出来たら比較してみる予定。
ウズベキスタンの地図
本屋で入手できるが、あまり種類がないし、精度は疑問だがあるだけまし。地図の販売場所はこちらBookshop参照。
ウズベキスタン・基礎情報リンク
- 外務省基礎情報-ウズベキスタン
- 日本のODAプロジェクト-ウズベキスタン
- 国別データブック-ウズベキスタン
- ウズベキスタンJICA事務所
- ジェトロ-中東・中央アジア
- ジェトロ-ロシア・CIS
- 社団法人 ロシアNIS貿易会
- JETROウズベキスタン
- 日本ウズベキスタン協会(NPO)
- 中央アジア・コーカサス研究所(NPO)
- 在日ウズベキスタン共和国大使館
- ウズベキスタン日本センター
- 中央アジアの地域機構(外務省)
- 中央アジア+日本対話
- ウズベキスタン旅行情報ー地球の歩き方
- ウズベキスタンで泊まったホテル
- Communications and Information Agency
- Potal of the State Authorities, Uzbekistan
- State Statistical Committee
- ウズベキスタン航空
- Worldbank Uzbekistan
- CIA The World Factbook- Uzbekistan
- Uzland
- Uzbekistan Development Gateway
- Uzreport Business Information Potal
- Uzbekistan in Figure (UNDP)
- Central Asian Gateway
- Radio Free Europe
- Uzbekistan Investment Gateway
- Buseness Information Resources
- Amchamuz
- UNDP Uzbekistan
- Ministry of Foregin Relations, Investment and Trade